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2017-05

一期一会 - 2011.04.09 Sat

陳腐なことばなんですけどね。


3月11日の東北大震災の翌日のお昼、ふと、「まだ停電中ということは、酪農家はずっと搾乳できていないんじゃないだろうか?」と気づいたわけですよ。

これは大変だよ、と思って、もしものために100Vの発電機をトラックに積んで近くの酪農家に何か手伝えることはないかと思って行ってみたら、やはりそうで、昨日の夕方から全然搾っていないんだと。
しかも普通の発電機じゃなくて三相の発電機がないとダメなんだって。今、跡取り息子が探し回ってるけど、全然ないんだと。

もう、2日目の昼でしょう、牛も2回搾ってないので苦しんで鳴いている中で、それをただ見ているしかない酪農家の老夫婦も、もう牛舎でおろおろするしかないわけですよ。


で、私はすぐに三相の発電機を探してきます、と言ってそのままトラックでいろんなところを探し回ったけど、全部停電中だもの、三相の発電機は人気でいろんな施設などに貸し出されてもうどこにもなかったわけ。
弘前の知り合いもダメ、五所川原もダメで、もうトラックの燃料もなくなってきて、帰りの燃料が足りなくなるかもしれないけど、もう、ダメでもともとと思って、鯵ヶ沢まで行くことにしたわけ。
すると、鯵ヶ沢の一部はどうも電気が通じているらしく、ガソリンスタンドがやっていて、帰りの燃料補給!
それで鯵ヶ沢に着いたけど、当ても何もないので、もう飛び込みで三相の発電機ありそうなところ知りませんか?とたずね回ったら、酒屋さんが「もしかしたら、あそこの西村鉄工さんにならあるかもしれない」と言ってくれたんですよ。

すぐにそこに行ったらもう日が暗くなってきていて、社長がちょうど工場の扉を閉めるところ。
そこで、事情を話して、どうしても三相の発電機を貸してほしいと言ったら、「そうか、あるよ」と。

だけど、発電機は大きく500kg以上もあって、しかも、工場の奥にあるわけ。
普段なら、工場の天井にあるクレーンで簡単に出して来れるそうなんだけど、停電で動かせないので、途中の資材をみんな寄せなきゃならないし、機械もいっぱいあって、大変大変。

それでも、社長さんは嫌な顔をまったく見せずに、至極当然と言った感じでていねいにていねいに作業をこなしていくんですよ。

資材をどかして、ようやく工場の中にあった小さなユンボを動かしてどうにかして発電機を吊り上げて運ぼうとしてくれるんだけど、発電機の方が重くて、ユンボが何度も倒れそうになる。
それでも、慎重に慎重に動かして、もう、片側のキャタピラが10cmくらい宙に浮いている状態で、何度もやり直しをしながら、なんとか、工場のドアの近くまで動かしてくれたわけです。
もう、見ていて申し訳なくて申し訳なくて。
しかも、もう暗い中です。
今度はユニック(トラックにクレーンのついているやつ)を持ってきて吊り上げて、やっと私のトラックに積んでくれました。

言葉は少ないけれど、ものすごく仕事が丁寧で安全な作業をする方だというのがひしひしと伝わってきましたよ。
代金も請求しないで、ただ、発電機の燃料が入っていないので、軽油だけ入れて使ってくれとのこと。

お礼を言って、すぐに岩木山の酪農家へ持って言ったわけです。
到着すると・・・、なんと、牛舎に電気が点いているじゃないですか?

そう、発電機到着直前に停電が復旧!
私はそのまま、またとんぼ返りで、西村鉄工さんのところへ発電機を返しに行ったわけです。

お礼を言って、その酪農家からもらってきた牛乳を置いて、一言二言立ち話をしたら、なんか本当にいい方だというのが伝わってきました。
今度、何か溶接かなんかやってもらうときは、必ずこの西村さんにお願いしようと思いましたよ。




で、また先日の夜11時30分頃の地震!
私は、熟睡中で気づかなかったんですが、夜中の1時頃おしっこに起きたら、停電してました。
潤子サマが、「大きい地震あったじゃん」と言っても、あたしゃ全然わかりません。

で、おしっこを外でしていたら、車のライトがだんだん近づいてきて、びっくり!
おや?誰か来る!?
私のおしっこを照らしに誰か来る?

急いでおしっこを済ませたら、あの酪農家さんの跡取り息子さんのトラックでした。
「真夜中に申し訳ないけど、なんとか、前回借りてくれた発電機をまた借りてくれないか」とのこと。
朝の搾乳をしなきゃならないからね。
こんな真夜中の1時頃に普通なら来ないじゃない。でも夜中に起きてトラックに乗ってここまで来るっていうことは、余程のことなんですよね。もちろんOkですよ!
(しかし、私のおしっこと、トラックの来るタイミング、すごくないですか?これがシンクロってやつ?)


で、私も失礼を承知で朝の5時過ぎから、西村さんの携帯に電話をしました。でもまだ就寝中なのか通じない。
それで、もうトラックで出発して、その途中から電話をしても6時になっても通じないので、もう、とりあえず直接工場までトラックで行ってしまうことにしました。

6時30分頃に工場についたんですが、誰もいないだろうけど・・・と思って、おはようございますと言いながら事務所のドアを開けると、するっと開いたんですよ。
で、奥のソファーから、社長の奥さんが起き上がってきたんです。
不思議だなと思うよりも、よかった!と思って、
「朝早くに申し訳ないのですが、また発電機をお借りしたいのですが・・・」と言うと、奥さんは、目が真っ赤なんです。

すると奥さんは、驚くことに「いくらでも貸してあげたいけど、昨晩、社長が亡くなってしまって・・・」と。
脳内出血で、亡くなってしまったんだそうです。
手術しても植物状態になるだけだということで、手術をしなかったんだそうです。
それでも、ちょうど今日が社員さんへの給料日だったので、奥さんが早く来て計算をしていたんだそうです。

それでも、発電機、社長がいないので私は動かせないけど、社員さんが来たら出せるから7時過ぎまで待ってくれないかとのこと。

すると、すぐに知らせを聞いたのか、目をはらした社員さんが次々にやってきて、私のことを聞いて、こういう時なのに、ものすごい親切に発電機を積んでくれるんですよ。
手分けして、ユニックを入れたり、機材をどかしたりてきぱきと。

見ていても、チームワークがいいというか、仲がいいというか、そして一人ひとりがとってもいい人だっていうのが伝わってくるんですよ。こういういい仲間のいる会社なら働いてもいいなあ、という気になるくらい、みんないい人オーラが出てるんですよ。
やはり、そういう社長の人柄だからそういう社員さんを惹きつけるんでしょうか。
それが昨日のことです。



そして、今日、発電機を返しに行って、社員さんに自宅を聞いてお線香を上げて来ました。
飾ってある写真を見て、ああ、こういうお顔だったなあ・・・と、思い出しました。

だって、借りるときと返すとき2回しか会っていないんですから。
一言二言話しただけですが本当にいい方でした。
それはわかりましたよ。


でももう、会えないんですよね。
なんとも残念です。

縁というものは不思議ですよね。
思い切って鯵ヶ沢まで行かなかったら、そしてあの酒屋に飛び込まなかったら、この西村社長には会えなかったわけだし、でも、また、もう会えないし。



本当に、陳腐なことばですが、一期一会ということばを噛み締めた日でした。


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プロフィール

白取 克之

Author:白取 克之
青森県の岩木山麓で無農薬・無化学肥料・半不耕起・草生・マルチ不使用で自然農を基本に在来種、固定種の野菜だけを育てています。

農法を簡単に説明しますと基本的な考えは自然農を心がけています。
ただ、植え付けの前に可能な限りごく浅く土の表面を均すためだけに耕起しています(深くても10センチ以内になるように)。それを半不耕起と言っています。
これは、当農場は開墾当時山であったため、山の小さな野ねずみも多く棲んでいて、冬の雪の下で縦横無尽に畑の土を掘り起こし、春雪が解けたあとは畝の形もわからないくらいものすごいデコボコと穴だらけになるところから生まれたやり方です。
本来の自然農では、草の積み重ねが年を越えて積み重なって行きますが、この場所では
一夏の間に土の表面に蓄積したたくさんの草や野菜の残渣などすべてこの雪の下で野ネズミによって細かく粉砕されてリセットされてしまうため、結果的にこの方法がこの場所にとっては思いのほかとてもよいものになっていると感じます。


私たち夫婦は2003年に木や灌木の生い茂る原野に入植し、森の開墾からスタート、沢に橋をかけ、道を作り、湧き水から水を引き、家を建て、丸1年の非電化生活を経て・・・と一からやってきました。

栽培作物は小麦、大豆、小豆、ニンニクなどの畑作物から30品目ほどの野菜、水稲も少し。
F1品種を使わず、すべて固定種、在来種の野菜というのが大きな特徴です。
自家採種率は果菜類でほぼ100%、全体でも60%以上。

収穫した野菜はセット野菜として会員さんに毎週お届けしております。

ニワトリは無農薬のお米と、うちの野菜くずに、草など、農薬や遺伝子組み換えなどとは完全に無縁なエサで育てています。

また、ここは縄文の「湯の沢遺跡」上にあり、縄文人たちの息吹が今でも感じられます。この話はまた長くなるので・・・。


また、就農のためのノウハウなど、農業研修生も受け入れております。
あるいは自然の中で岩木山の大地からエネルギーをもらい1年ゆっくりと自分を見つめる場としてもおすすめです。
自給のための作物の育て方、小屋の建て方、自給生活のノウハウ、一からの開墾の方法なども学べます
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

ちなみに趣味はクラシック音楽を聴くこと、チェロを弾くことで、ドヴォルジャークやスメタナといったチェコの国民学派が好きです。もちろんチェコビールも大好き!


<連絡先>
0172-93-2523
higashiiwakisan428*cronos.ocn.ne.jp(*を@に変えて送信してください)
お気軽にどうぞ~。

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